New Leaders in Japan Seek to End Cozy Ties to Press Clubs - NYTimes.com
東京発のニューヨークタイムズ記事。この国の大手メディアが絶対に報じることのできない内容です。その理由は簡単で、大手メディア各社は「記者クラブ」制度という既得権益を守ろうと必死になっていて、そんな「醜い姿」をみずからの紙面やスクリーンの上にさらけ出そうなどとは、決して思わないからです。
亀井金融大臣は、同じ日に連続して記者会見を2回行っています。1つは従来通りの記者会見。大手メディアの記者だけが参加する金融庁記者クラブ向けです。もう1つは雑誌やインターネットのニュースサイトなどで活躍するフリーランスのジャーナリストや海外メディアの記者たちとの会見です。
どうして亀井大臣がこんな面倒なことをするかといえば、前者の「記者クラブ」が後者の「雑誌、フリーランス、海外メディア」の参入・同席を拒否したからです。会見の部屋さえ別にすることを要求したのです。
2つ目の会見の席上、亀井大臣は「日本のニュースメディアは閉鎖的だよ。記者クラブの連中は、自分たちだけが本物のジャーナリストだと思っている。連中は間違っているよ」と語り、2つの会見で対照的な姿勢を示すことを通して、記者クラブへの不満を表明しています。
On a recent morning, the contrast between the two news conferences was stark. At the first, for press club members, about 45 mostly male reporters in suits sat in rows of desks like students at a lecture, raising their hands to ask detailed questions about financial policy. Mr. Kamei, who sat on a podium in front of a blue-gray curtain, gave curt answers and even reprimanded reporters for their coverage.---1つ目の会見。記者クラブ向け。ほとんど男ばかりが45人ほど。学生が講義を受けているみたい。ハイと手をあげて質問する。ぶっきらぼうに応える亀井大臣。記事に関して叱りつけることもある。
The second was held immediately afterward in Mr. Kamei’s wood-paneled office, where he chatted at length and joked while lounging in a big leather chair. An assistant provided coffee to about 25 Japanese and foreign journalists, including several women and tie-less men, some carrying bicycle helmets. They circled around the minister to ask broad questions on issues from Japan’s aging society to postal reform to his clash with the establishment news media.---大臣室で行われる2つ目の会見。雑誌やフリーランス、外国人などさまざまなジャーナリストたち。ソファに寛いだ格好で冗談を飛ばしながら喋りまくる亀井大臣。取材記者たちにはコーヒーも提供される。日本人と外国人の記者たちが25人。女性、ノーネクタイ姿、自転車用ヘルメット。大臣への質問は高齢化問題から郵政改革、既成メディアとの衝突に至るまで多岐にわたる。
While the first news conference was held behind closed doors, the second was posted live on a Web site. To show his displeasure with having to hold two meetings, Mr. Kamei sometimes cuts the first news conference short to spend more time at the second.---1つの目の会見は非公開。2つ目の会見はウェブサイトでライブ映像が流される。亀井大臣は不満を示すために、しばしば1つ目の会見を早めに打ち切り、2つ目の会見に多くの時間を割いている。新聞社やテレビ局、大手通信社の記者からなる記者クラブ構成員からすると、「報道・取材の自由」は手放してはならない排他的な既得権益でしかないのでしょう。それゆえに「報道・取材の自由は我らにのみあり」ということになってしまう。
残念なことに憲法が保障する表現の自由、報道の自由、取材の自由は、それこそ戦前、戦後を通じて一貫して「絵に描いた餅」でしかなかったようです。国内外からの批判の高まりにもかかわらず、既得権益と化した報道特権、取材特権は連綿と維持されてきました。
鳩山政権はメディアの特権を壊すことができるでしょうか。
記事に登場するフリーランスのジャーナリストである岩上安見さんは、ご自分のウェブサイトで次のように述べられています。なるほど、鳩山政権の「グラスノスチ」は「ベルリンの壁」を壊すほどの変革をもたらすか。そうした視点でこれからの変化を見つめていきたいですね。
この記者会見のあと、ニューヨークタイムス東京支局長のマーティン記者に声をかけられ、「大臣の記者会見が二度行われるという、この異常事態をどう思うか?」と、フリージャーナリストの私の立場からのコメントを求められた。前回は、東京新聞の記者の取材を受けた(11月7日(土)付朝刊に掲載)が、私の回答は基本的にはシンプルなものである。
記者クラブは、カルテルに他ならない。
どう美化する理屈をつけようと、大臣の発言という重要な情報を、独占的に占有しているカルテルである。彼らが記者会見を占有し、他のメディアやジャーナリストを排除することを、正当化できる理屈など、どこにもない。
マーティン支局長は、「なぜ記者会見が二回行われるのか? 異常ではないか?」と繰り返したずねたが、異常なのは、亀井大臣が記者会見を二回開いていることではない。記者クラブが、特権的・排他的に重要な政治情報を占有している状態、これこそが、世界中の先進国のどこにも例のない「異常事態」なのである。我々は「異常」を「異常」とも思わなくなるまでに、感覚も良識も鈍磨させられてしまっているのだ。
ゴルバチョフ政権下に始まったペレストロイカも、その手始めはグラスノスチ(情報公開)だった。旧弊を改めるのは、ことほど左様に難しい。記者クラブを牛耳る大手マスメディアは、官僚機構と並ぶ最大の抵抗勢力である。
鳩山内閣が始めた「情報公開」「透明化」という「革命的変革」は、ベルリンの壁を崩すほどの変化を、果たしてもたらしうるだろうか。 (更新日時: 09年11月11日 23:09)
[Web Iwakami - ニュースのトリセツ - 「記者クラブに入っている人たちだけがジャーナリストじゃないんです。彼らは思い上がったらいけません」~11月10日亀井大臣オープン記者会見3]






